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外と中の境界を、できるだけなくした家

こんにちは、高谷です。

家を考えるとき、私たちはつい「部屋の広さ」や「間取りの使いやすさ」に意識が向きがちです。
もちろんそれも大切です。
でも、暮らしの心地よさを本当に左右するのは、外と中がどうつながっているかだと私は思っています。

この住まいは、まさにその感覚を大切にした家です。

大きな開口から庭へと視線が抜け、光がまっすぐ室内に入り込む。
そのおかげで、室内にいながら外の空気まで感じられるような、そんな伸びやかさがあります。

ただ窓を大きくした、という話ではありません。
この家の良さは、外と中をつなぐための要素が、ひとつひとつ丁寧に重ねられているところにあります。

まず印象的なのが、壁のレンガです。
室内の壁として見えているレンガが、そのまま外へ連続している。
だからガラスを挟んでいても、空間が途中で切れません。
普通なら「ここから中」「ここから外」と意識が切り替わるところが、この家ではとても曖昧で、やわらかくつながっています。

さらに、天井や梁の存在も大きいです。
木の梁が力強く横に走り、そのリズムが内外で連続して見えることで、空間全体に一体感が生まれています。
梁が単なる構造材ではなく、内と外をつなぐ“線”のような役割を果たしている。
この見え方によって、家の中にいても閉じた感じがしません。

床の高さも、この住まいにとって大事なポイントです。
室内の土間のような床の高さと、外のテラス側の床の高さが近いことで、視覚的にも感覚的にも段差が少ない。
この少しの差が、外へ出る行為のハードルを下げてくれます。
椅子を少し外へ出す。
光のいい場所に移動する。
季節の空気を感じながら過ごす。
そんな行動が、特別なイベントではなく、日常の延長になります。

キッチンからダイニング、そして庭へ。
視線が奥へと抜けていくので、実際の面積以上に広がりを感じます。
料理をしていても、食事をしていても、くつろいでいても、常に外の気配が近くにある。
この「気配」が、暮らしを豊かにしてくれるんだと思います。

レンガの素材感、木の梁の温かさ、土間のような床の質感。
どれも自然の光を受けることで表情が変わり、時間の移ろいまで室内に取り込んでくれます。
朝のやわらかな光も、夕方の斜めの光も、この家ではただ明るいだけではなく、空間の質そのものをつくっています。

家の中を快適に整えることは、もちろん大事です。
でも、家の中だけで完結させないことも同じくらい大切だと思っています。

外を切り離さず、景色や光や空気まで暮らしの一部にしていく。
そうすることで、家は単なる箱ではなく、周囲の環境と一緒に完成する場所になります。

この住まいは、まさにそんな考え方を形にした家です。
外と中を分けるのではなく、ゆるやかにつなげる。
その境界の曖昧さが、暮らしに豊かさと余白を生んでくれるのだと思います。

家の中にいながら、外を感じる。
外にいながら、家の安心感に包まれる。
そんな住まいは、やはり気持ちがいいです。