2026年 新年のご挨拶

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年末休暇でタイ・パタヤの海沿いに建つ「サンクチュアリ・オブ・トゥルース」へ行ってきました。
1981年に着工し、今なお彫刻が刻まれ続ける、世界でも稀有な“未完成であり続ける寺院”。
現地ではヘルメットを被り、足場のすぐ横を通りながら建築を体感します。観光というより、建築の現場を歩いているような感覚でした。柱、梁、尖塔、壁面――そのすべてが木。一本の釘も使わず、組みと彫刻だけで成立させるという途方もない挑戦が、ここにはあります。
近づくとまず圧倒されるのは、彫刻の密度と熱量。
仏教・ヒンドゥーの神々や宇宙観、自然哲学が、木肌から湧き出すように表現されている。鑿(のみ)の跡は力強く、粗さすらも誠実。ツルッと仕上げない、媚びない、飾らない。誤魔化さない木の表情のすべてが、人の手から生まれているという事実に胸が熱くなりました。
特に寺院内部の大空間。高いアーチ状の天井を支える柱群が森のように並び、上部の彫刻が光で浮かび上がる。足元は分厚い無垢板の床。踏みしめるたびに「素材が生きている」と感じる。便利さを追うだけの建築では、絶対に生まれない体験です。
思えば私たちの家づくりも、どこか似ています。
素材を誤魔化さない。手仕事を省略しない。
完成した瞬間がピークじゃなく、暮らしと共に深まる価値をつくること。
この寺院は「未完成だから価値がある」のではなく、
「手仕事が止まらないから、価値が生まれ続ける」。
家も、寺も、最後は人の想いで完成する。
私たちも、10年後、30年後、100年後に
「ここで良かった」と言われる建築を続けていきたい。
簡単には行けない場所で、簡単には真似できない手仕事に触れた旅。
これからの仕事と暮らしの指針を、木から教わった年末年始でした。