増築工事完了しました!

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こんにちは、高谷です。
現場では今回、
30倍発泡の吹付け硬質ウレタンフォームを施工しました。
写真のピンク色の部分が断熱材です。
吹付け断熱と聞くと、
「モコモコ膨らむ断熱材」
というイメージを持たれる方も多いと思います。
ただ、同じ吹付けウレタンでも、
実はいくつか種類があります。
その中でも今回は、
一般的に「30倍発泡」と呼ばれる
高密度タイプの硬質ウレタンフォーム。
今日は少しマニアックですが、
なぜ30倍なのか。
メリットだけではなく、
デメリットも含めて書いてみます。
「30倍」というのは、
断熱性能が30倍という意味ではありません。
原液を現場で吹き付け、
化学反応によって発泡させたときの
発泡倍率を表した呼び方です。
住宅でよく使われる吹付けウレタンには、
30倍程度に発泡する高密度タイプと、
100倍程度に発泡する低密度タイプ
があります。
一般的には、
30倍発泡
→ A種1・A種1Hなどの高密度タイプ
100倍発泡
→ A種3の低密度タイプ
として説明されることが多いです。
ただし、
発泡倍率だけでJIS区分が決まるわけではありません。
正式には使用する製品の
JIS区分や性能値を確認する必要があります。
現在の吹付け硬質ウレタンフォームは
JIS A 9526で規定されています。 日本規格協会 JSA GROUP Webdesk
30倍発泡の大きな特徴のひとつが、
独立気泡構造
です。
簡単にいうと、
小さな泡がそれぞれ独立している状態。
一方、A種3などの低密度タイプは
気泡同士がつながった構造になります。
30倍発泡タイプは密度が高く、
施工後に触ってみると、
「ふわふわ」
というより、
かなり硬い。
写真からは分かりにくいですが、
実際に触ると違いがよく分かります。
独立気泡の硬質ウレタンフォームは、
水や水蒸気が内部へ入りにくい性質を持っています。 日本ウレタン工業協会
断熱材を見るときに重要なのが、
熱伝導率 λ(ラムダ)
です。
これは、
「どれくらい熱を通しやすいか」
という数字。
数字が小さいほど、
熱を伝えにくい断熱材です。
ウレタンフォーム工業会が示している
JIS A 9526の性能では、
となっています。 日本ウレタン工業協会
つまり製品によって違いはありますが、
30倍発泡タイプは、
比較的薄い厚みでも高い断熱性能を確保しやすい。
ここが大きなメリットです。
柱の厚みには限界があります。
その限られた壁の中で
どれだけ熱抵抗を確保できるのか。
断熱材選びでは
かなり重要なポイントになります。
もうひとつ、
吹付け断熱そのものの強みがあります。
現場で直接、
柱や梁、
金物周辺などに吹き付けていくため、
複雑な形状にも
断熱材を充填しやすい。
硬質ウレタンフォームには
自己接着性があり、
下地に密着しながら
連続した断熱層をつくることができます。 日本ウレタン工業協会
断熱材は、
「何を使うか」だけではなく
「どう施工されているか」
がものすごく大切です。
どれだけ高性能な断熱材でも、
隙間だらけでは本来の性能を発揮できません。
個人的に30倍発泡の
大きな特徴だと思っているのがここです。
独立気泡構造なので、
水や水蒸気が内部へ入りにくい。
ウレタンフォーム工業会でも、
A種3を除く硬質ポリウレタンフォームについて、
独立気泡構造によって
水・水蒸気が侵入しにくいことが説明されています。 日本ウレタン工業協会
住宅で怖いのは、
見えているところの結露だけではありません。
壁の中で起こる
「内部結露」
です。
木造住宅の場合、
壁の内部で結露が長期間続けば、
木材の腐朽やカビなどにつながる可能性があります。
そのため、
「断熱性能が高ければOK」
ではなく、
温度と湿気をどうコントロールするか
まで考えなくてはいけません。
ここは少し専門的ですが、
大事なので書いておきます。
30倍発泡は透湿抵抗が高いため、
「防湿シートはいらない」
と説明されることがあります。
ただ、
30倍発泡だから、どんな家でも
防湿層を省略できるわけではありません。
外側に使う面材、
断熱材の厚み、
地域の温湿度条件、
室内外の材料構成などによって、
壁体内結露のリスクは変わります。
つまり重要なのは、
断熱材単体ではなく、
壁全体として考えること。
ここは非常に大切です。
吹付けウレタンは、
柱や梁、
配管まわりなどにも追従して施工できます。
そのため、
気密性能を確保しやすい工法
でもあります。
ただし、
「吹付けウレタンを使った=高気密住宅」
ではありません。
サッシまわり。
構造材との取り合い。
配管・配線の貫通部。
床と壁。
壁と屋根。
こうした部分を
一つひとつ処理していくことが重要です。
最終的には、
C値を測定して初めて
家全体の気密性能が分かります。
断熱材だけに頼るのではなく、
家全体で性能をつくっていきます。
もちろんあります。
性能だけを見て、
「30倍発泡が絶対正解」
というものでもありません。
まずはコスト。
同じ量の原液から
大きく発泡する100倍タイプに比べ、
30倍発泡は
使用する原料の量が多くなります。
そのため一般的には、
30倍発泡のほうが
施工コストは高くなります。
住宅は断熱材だけで
できているわけではありません。
窓。
換気。
空調。
日射取得。
日射遮蔽。
気密。
すべて含めて性能を考え、
どこに予算を使うのかを
決めることが大切です。
ここは施工面で
かなり重要です。
30倍発泡タイプは、
「一気に100mm吹けば終わり」
ではありません。
ウレタンフォーム工業会では、
A種3を除く吹付け施工について、
1層の吹き上げ厚さは30mm以下
とし、
30mmを超える場合は
多層吹きすることを示しています。
また、
1日の施工厚さについても
80mmを超えないことが示されています。 日本ウレタン工業協会
これは発泡するときに
化学反応によって熱が発生するため。
一度に厚く施工しすぎると、
内部に熱がこもり、
スコーチやクラック、
場合によっては燃焼につながる危険があります。 日本ウレタン工業協会
だからこそ、
材料の性能以上に
施工管理が重要な断熱材
でもあります。
ウレタンは、
「難燃だから燃えない」
わけではありません。
ここも誤解されやすいところ。
硬質ウレタンフォームは可燃物です。
ウレタンフォーム工業会も、
施工中・施工後を含めて
火気管理を徹底するよう注意喚起しています。 日本ウレタン工業協会
今回の写真のような
ピンク色のフォームは、
一般的には
難燃性を持たせた製品を識別するために
着色されています。
ただし、
「難燃性」と「不燃」は別物。
難燃タイプであっても
火源によっては燃焼します。 日本ウレタン工業協会
そのため完成後は、
石膏ボードなどを含めた
壁・天井全体の防火設計が必要です。
これは吹付け断熱全般に言えることです。
現場でつくる断熱材なので、
工場で完成した断熱ボードとは違います。
吹付ける人が、
原液。
温度。
厚み。
吹付け回数。
下地の状態。
こういった条件を管理しながら
施工していきます。
ですから、
製品カタログの性能だけではなく
現場でその性能を再現する施工力
が重要になります。
2026年8月には、
日本ウレタン工業協会の
「吹付け硬質ウレタンフォーム品質自主管理基準」も
第八版へ改正されています。 日本ウレタン工業協会
それだけ、
現場施工の品質管理が
重要な材料ということだと思います。
今回施工した30倍発泡。
高い断熱性能。
湿気への強さ。
下地への密着性。
気密を確保しやすい施工性。
非常に魅力のある断熱材です。
ただ、
価格も上がりますし、
施工方法にもルールがあります。
だから僕は、
断熱材だけを取り出して
「これが一番いいですよ」
という考え方は
少し違うと思っています。
住宅で大事なのは、
壁・屋根・窓・換気・気密・空調まで含めて、
ひとつの建物として考えること。
そして、
設計した性能を
現場できちんとつくること。
断熱材は、
家が完成すると
ほとんど見えなくなります。
床も仕上がり、
壁も仕上がれば、
今回の写真の状態を見ることは
もうありません。
でも、
夏の暑さ。
冬の寒さ。
冷暖房の効き方。
結露リスク。
住んでからの快適性には、
ずっと関わってくる部分です。
だからこそ、
見えなくなるところほど、ちゃんとつくる。
今回もしっかり確認しながら
次の工程へ進めていきます。
また現場の様子を
紹介します。
高谷でした。
