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吹き抜けと渡り廊下が、家の空気を変える

高谷です。

家づくりの中で、
間取りや広さ、性能の話はもちろん大切です。

でも実際には、それと同じくらい
**空間の“感じ方”**が、暮らしの質を左右すると思っています。

今回の写真のような
吹き抜けと渡り廊下のある住まいは、
まさにその象徴のような空間です。

ただ床を増やす。
ただ部屋をつくる。
そういう足し算ではなく、
抜くことで生まれる豊かさがあります。

吹き抜けがつくるのは、広さだけではない

吹き抜けというと、
まず「開放感」が思い浮かぶかもしれません。

もちろんそれは大きな魅力です。
天井の高さが生まれ、視線が上下に抜けることで、
実際の面積以上に空間が広く感じられます。

けれど、吹き抜けの良さは
それだけではありません。

光が届くこと。
空気が動くこと。
家族の気配がつながること。

上から落ちてくる自然光は、
部屋をただ明るくするだけではなく、
時間の移ろいまで感じさせてくれます。

朝のやわらかな光。
曇りの日の静けさ。
夕方の落ち着いた陰影。

そうした変化が、
家の中に自然のリズムを持ち込んでくれるんです。

渡り廊下は、“移動のための通路”ではない

この写真を見ていると、
吹き抜けの上に浮かぶように伸びる
渡り廊下の存在がとても印象的です。

渡り廊下というと、
単なる動線のように思われることもあります。

でも実際には、
ここはただ移動するための場所ではありません。

立ち止まったり、見下ろしたり、
窓の外を眺めたり。
少しだけ気持ちを切り替える場所でもあります。

部屋と部屋をつなぐだけではなく、
気持ちと気持ちのあいだをつなぐ余白のような存在です。

家の中に、
こういう“目的を決めすぎない場所”があると、
暮らしはぐっと豊かになります。

上下でつながりながら、ちゃんと距離も保てる

吹き抜けのある家は、
家族の気配が伝わりやすいのも魅力です。

1階にいる人と2階にいる人が、
顔を合わせなくても、なんとなく存在を感じられる。
声や光や空気が、家の中をやわらかくつないでくれる。

でも、それは
ずっとベッタリ近いということではありません。

今回のように渡り廊下があることで、
空間はつながりながらも、
ほどよい距離感が生まれます。

近すぎず、遠すぎず。
ひとりになれるし、孤立もしない。

このバランスは、
これからの住まいにとても大事だと思っています。

線の細い手すりが、空間の軽さをつくる

写真の中で、
黒のスチール手すりとガラスの組み合わせが
とても効いています。

ここを重たくつくってしまうと、
せっかくの吹き抜けの抜け感が弱くなってしまう。

だからこそ、
なるべく視線を遮らず、
空間の連続性を壊さない納まりが大切です。

床の木のやわらかさと、
スチールのシャープさ。
白い壁の静けさと、
奥のグレーの落ち着き。

それぞれが主張しすぎず、
でもちゃんと空間に緊張感をつくっている。

この引き算の美しさが、
吹き抜けの魅力をより引き立てているように感じます。

“見せ場”ではなく、“暮らしの質”としての吹き抜け

吹き抜けは、派手な演出のためにつくるものではないと思っています。

もちろん見た目の美しさはあります。
でも本当に大事なのは、
毎日の暮らしの中でどう感じるかです。

朝、2階の廊下を歩いたときに光がきれいだとか。
1階のリビングにいる家族の気配を少し感じるとか。
窓の外の空を見て、季節を感じるとか。

そういう小さな積み重ねが、
住まいをただの箱ではなく、
心地よく暮らせる場所に変えていくのだと思います。

吹き抜けと渡り廊下は、
空間を豪華に見せるためのものではありません。

家の中に、光と余白とつながりをつくるための設計です。

最後に

家は、広ければいいわけでも、
部屋数が多ければいいわけでもありません。

どうつながるか。
どう抜けるか。
どこに余白をつくるか。

その積み重ねで、
住まいの居心地は大きく変わります。

吹き抜けと渡り廊下のある空間には、
数字では表しにくい豊かさがあります。

ただ便利な家ではなく、
ただ整った家でもなく、
日々の光や気配まで美しく感じられる家。

そんな住まいを、
これからも丁寧につくっていきたいと思います。

高谷です。