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もう「高い」だけの話ではない。ナフサ系資材が止まり、日本の建築が止まりかけている

2026年4月15日。
いま日本の建築業界で起きているのは、単なる資材高騰ではありません。

材料が入らない。
受注できない。
発注しても納期が読めない。
つまり、建築そのものが進められない。

そんな状況が、現実に始まっています。

原因のひとつが、ホルムズ海峡を巡る混乱によるナフサ供給不安です。
ナフサは、建築とは一見遠いようでいて、実は住宅のあらゆるところに関わっています。

塩ビ管。
断熱材。
防水シート。
接着剤。
シーリング材。
塗料。
シンナー。
フィルム。
コーティング材。
樹脂部材。

こうしたものは、表に見える主役ではないかもしれません。
でも、これが止まると家は建ちません。

実際に、TOTOは4月13日、ユニットバス・システムバスの新規受注見合わせを公表しました。
すでに納期回答済みの案件は出荷継続としながらも、一部部材不足により現行の受注方法では注文が適切に行えないとしています。再開の見通しも、まだはっきりしていません。

LIXILも4月10日、石油由来の原材料である樹脂などの供給制限、生産活動への影響を公表し、今後、価格・納期・数量等の供給条件を調整する可能性があると発表しました。

これは、もう一部メーカーだけの話ではありません。

4月15日時点の報道でも、断熱材やシンナーなどの資材値上げに加え、住宅用途でも受注停止が広がっていることが伝えられています。
日本ペイントは建築用シンナーを大幅値上げ。塗料店や現場では、ビニールやテープまで入手困難との声が出ています。

さらに国内では、値上げで済む段階を超え、受注停止・出荷停止・生産停止に入った分野が出てきたとも報じられています。
塗料用シンナー、接着剤、住宅設備など、現場を動かすために必要な脇役たちが止まり始めると、設計が終わっていても、職人さんがいても、工事は進められません。

ここで大事なのは、「日本全体では量を確保している」という話と、「現場に物が届く」という話は違うということです。

経産省も4月3日の会見で、石油製品やナフサについて必要量は確保しているとしつつ、同時に供給の偏りや流通の目詰まりが起きていると認めています。

まさに今、建築現場で起きているのはこれです。

在庫が国内のどこかにあっても、
必要な形で、必要なタイミングで、必要な製品として届かなければ意味がない。

しかも住宅は、ひとつの資材だけで成立するものではありません。
どれだけ木材があっても、接着剤が止まれば施工できない。
設備があっても、樹脂部材や副資材がなければ納められない。
塗装工程に必要なシンナーが欠ければ、最後まで仕上がらない。

家づくりは、たくさんの部材がそろって初めて前に進みます。
だからこそ、ナフサ系の副資材が止まることは、建築にとって致命的です。

石油化学工業協会は3月時点で、ナフサの国内消費は中東輸入約4割、国内生産約4割、その他地域約2割と説明していました。
つまり日本は、完全に一本足ではない。
それでも今回ここまで混乱しているのは、単純な総量不足だけではなく、代替調達・製造・流通・配分の全体が一気に歪んでいるからです。

私たち建築に携わる側が、いま正直に伝えるべきことがあります。

これからは、
「値上がりするかもしれません」
ではなく、

「仕様によっては、そもそも手配できません」
「メーカーによっては受注停止です」
「工期は努力でどうにかなる段階ではありません」

そういう説明が必要な局面に入っています。

お客様にとっては不安な話だと思います。
でも、だからこそ曖昧にしてはいけない。

今は、見積もりの金額だけを見る時期ではありません。
どのメーカーが動いているか。
どの部材が危ないか。
代替案があるか。
先に押さえるべき設備は何か。
工程をどう組み直すか。

家づくりは今、価格の問題から供給の問題へ、そして着工・完成できるかの問題へと移っています。

ホルムズ海峡の問題は、遠い国のニュースではありません。
ナフサ系のものが止まるということは、
日本の建築が止まるということです。

それが、2026年4月15日の現実です。

高谷より